実は本来、年神様に供えるための料理だったおせち料理。
日本では平安時代より、季節の変わり目(いわゆる節句の日ですね)とされる日に、宮中行事として神様に供え物をし、宴を開いていました。
その宴で出される料理のことを「御節供(おせちく)料理」と言い、「おせち料理」の由来となりました。
この宮中行事が庶民に広まったのは江戸時代のことで、「御節供(おせちく)料理」はお正月に頂く贅沢なお料理になっていきました。
そのおせち料理、「めでたさが重なるように」と縁起をかつぎ、重箱に入れることにも意味があり、
家庭や地域によって違いがあるものの、四段重が正式な段数になり、1の重、2の重、3の重、与の重と呼びます。
(「与」が使われているのは、昔から言われるように「四」は「死」を連想させて縁起が良くないため)
おせち料理の段ごとのお料理の意味をご紹介します。
☆ 1の重のお料理と意味
1の重には「祝い肴」を入れます。
「祝い肴」は「屠蘇肴」や「三つ肴」ともいい、数の子、黒豆、ごまめを指します。
祝い肴
黒豆・・・「一年中まめに働けますように」との意味を込めて。まめとは元気、勤勉の意味も含まれます。
数の子・・・たくさんの卵を持つ数の子。子孫繁栄を願う気持ちが込められています。
田作り(ごまめ)・・・昔はイワシが田植えの祝い肴に使われていたことから、豊作を願う意味が込められます。
(昔はイワシが田んぼの肥料にされていたことも関係あります。)
☆ 2の重のお料理と意味
2の重は「口取り」を入れます。
大人から子供まで食べられる、かまぼこ、栗きんとん、だて巻き、昆布巻きなどで、甘いものが中心になります。
口取り
紅白蒲鉾(なます)・・・お祝いの水引をかたどったもので、紅白はおめでたい意味があるとして、結婚式などでも用いられる彩り。
伊達巻・・・「伊達」には華やかという意味があり、巻物の形は書物に似ている形から学問や文化を意味すし、学問や習い事の成就祈願。
(伊達に華やかという意味があるのは伊達政宗の派手好きに由来する説もある)
栗きんとん・・・きんとんは「金団」と書き、その色から黄金(財産)をあらわし、富を得る縁起物。
昆布巻き・・・「よろこぶ」にかけての語呂あわせ。
☆ 3の重のお料理と意味
三の重は「焼き物」で、焼き魚やエビなど海の幸が入っています。
焼き物
海老・・・腰が曲がった海老は長寿の象徴で、長生きできますように、と長寿祈願。
鰤(ブリ)の焼き物・・・出世魚である事から出世祈願。
☆ 4の重のお料理と意味
与の重は、「煮物」で、山の幸を使った煮物、野菜の煮しめや筑前煮、ぼうだらなどが入ります。
煮物(煮しめ)
里芋・・・子芋がたくさん付くことから、子だくさんを祈っての子宝祈願。
れんこん・・・穴があいたれんこんには、先を見通せるように先見性のある1年を祈願。
くわい・・・くわいの大きな芽に、芽が出ることを祈って、出世祈願。
ごぼう・・・地にしっかりと根を張るごぼうは、強さや丈夫さの祈願。
ぼうだら・・・「鱈腹食べられる」との言われから豊作、大漁を祈願。
このように、たくさんの祈りを込められたおせち料理。
せっかくなので、神と人がともに祝うという意味がある祝箸で、おせち料理を頂きたいですね。